農園-awneさんについて教えてください
私の家はこの地で三代続く農家です。
父の代では地域の農業グループと共に三つ葉の水耕栽培をしていましたが、正月や松茸シーズンの消費が減ったことや、他の葉物野菜が出てきたことが影響して、16年前から苗農家になりました。
現在は園芸専門店や専業農家さんに卸す野菜苗を年間で30種類ほどつくっています。
実家を継ぐ以外になにか夢はありましたか?
中学生の時は野球、高校では柔道に力を入れていて、漠然とその道に進みたいなという夢はありましたが、高校卒業後に体調を崩したことと、自分の体が小さかったためにその夢は諦めました。
父のあとを継いで農家になることは、最初からはっきりとイメージしていた訳ではありませんでしたが、どうにも勉強が嫌いで、小遣い稼ぎに手伝い始めてそのまま引きずり込まれたような感じですね。
お仕事の中で一番大変だったことはなんですか?
三つ葉の水耕栽培から、苗の生産に切り替える段階では、まったく知識がないことが一番不安で、分からないことだらけだったその時期が一番大変でした。
自分の師匠のような人に、毎日電話をして相談したり、時には直接見に来てもらってアドバイスを受けたりして、なんとかやってきました。
会社勤めをしていた息子が後を継ぐことを決めてくれたから、苗の生産に変えられたというのはありますね。
お仕事にやりがいを感じるのはどんな時ですか?
苗農家でも、やはり苗の善し悪しというのはあって、他の苗農家さんと比較されることはありますが、作ったものが思った通りに出来たときにはやりがいを感じます。
たとえば50本注文が入ったら、虫に食われたりしてダメになることを考えて、数本余分に育てて注文数ぴったりを出荷できるように工夫しています。
水やりでも、かかる量に差があれば、成長のスピードにも差が出てきてしまいます。
最初の想定、注文通りに育って出荷できて、農家さんから評価をいただくことが一番ですね。
ボラバイターの仕事の内容について教えてください
ボラバイターさんには、堆肥作りや種まき、出荷するポットへの植え付け、出荷作業などをお願いしています。
農業未経験のボラバイターさんは多いですが、電話面接の時にどんなことが知りたいのか、やってみたいのか、などを確認して出来るだけ希望にそった形で、その人が出来る範囲の仕事を任せています。
なんとなくやってみよう!ではなかなか続かないことが多いので、楽しく仕事をするためには、自分なりに目標を持って来てくれると嬉しいですね。
この仕事に向いている人はどういった人ですか?
まず第一に、植物を育てることが楽しい!と思えることが大事かな。
あとは大きく成長する前の小さい苗を扱う時なんかは、ちょっとのことがすごく影響してしまうから、丁寧に扱える人がいいですね。
(小さい小さい茄子の苗。ここから成長すると大きいポットに移します)
ボラバイターとの思い出を教えてください
半年くらい一緒に働いてくれた人はよく覚えてますね。休みの日には、日帰りで行ける範囲ならボラバイターの趣味に合わせて色々な所に行くこともあります。
これまでだと寺社仏閣巡りが好きな人、お花が好きな人なんかがいましたね。
千葉は海に囲まれてお魚も美味しいので銚子の漁港に行ったこともありました。帰った後で年賀状のやりとりがある人もいますし、違う季節の仕事を体験したいと戻ってきた人もいますね。
周りの地域の事を教えてください
都会は色々なことがすべて便利で生活しやすいと思いますが、このあたりは畑が多いので都会よりは不便なことも多いです。
スーパーまでは車で15分くらいで、家が少ないので物寂しい感じがするかもしれません。
ただ、地域のみんなが知り合いで、色んな事を助け合って、協力し合って生活しているのは良いところだと思います。家庭菜園で作った野菜をあげたり、逆にもらったりして、野菜は買わなくてもすむ事が多いですね。
地域の活動の時に家庭菜園のスイカを持って行ってみんなで食べたこともありました。
仕事のことはもう息子に任せているから、仕事以外の夢は、「いろんな果物を作ってみたい!」ということかな。
新しい品種がどんどん出てきているし、剪定のやり方によって成長が変わってくるのが野菜と違って面白いところ。果物に関してはまだまだ素人で、まだまだ勉強だなと思います。一年じっくり時間をかけて育てるのが楽しいです。
(家庭菜園で作った「せとか」をいただきました。ジューシーで甘い!)
【 編集後記】
2月の季節外れに暖かい、まさに取材日和の日に伺い農園を隅々までご案内いただきました。ハウスの中は外よりもずっと暖かく、ずらっと並ぶピーマンの苗は、その高さがそろったキレイさも数の多さも壮観でした。ちょうどボラバイターさんが一人働いていて、「農園-awneさんは(人柄が)温かいところがいい」と仰っていました。お話させて頂いていて私も感じましたし、インタビュー動画を最後まで見ればお人柄がぐっと伝わるじゃないかなと思います。
(記事:AKKY 写真:大越 香絵)(取材日:2017/2/16)