農園-shi【群馬県・北軽井沢、野菜】

10代、20代の頃は何をしていましたか?

20代は、バンドを組んでボーカルとギターを担当していて、会場借りてお客さん呼んでライブをしていましたね。あとは、高校生と専門学生の時にサッカーをしていました。学校が前橋にあって、一人暮らしをしていたんですが、その延長で実家に戻ることなく家庭用医療機器の製造販売会社に就職して5年くらい働きました。

実家はもともと酪農と野菜栽培をしていましたが、父が完全に野菜だけに切り替えて、休日だけ手伝いに帰っていました。それがどんどん忙しくなっていったタイミングで27歳の時に就農しました。

酪農から野菜に切り替えたのはどういった経緯だったんでしょうか

私の地区は、祖父の代に入植して、戦後に開拓されたところなんです。詳しく聞いたことはありませんが、ちょうど牛乳の販売価格が下がっていったことが一つの原因なんじゃないかなと思います。

酪農は生き物を扱っていて一年中休みがありませんが、野菜は自分の経営努力で良くも悪くもなるので、そういったメリハリのある働き方が父親には向いていたのかなと思います。切り替えた当時は設備もないし、栽培技術もない中で、一大決心だったと思いますね。

お仕事をする上でのポリシーを教えてください

群馬県のエコファーマーとして、除草剤は全く使わず、化学肥料や化学農薬を極力使わず、安心安全で栄養価の高い美味しい野菜を提供する、ということです。化学肥料は与えた分だけの効果がありますが、土にはあまりよくないと言われています。逆に有機肥料だと、効果が長く続いたり、思ったより続かなかったりします。それでも有機肥料の方が土を壊さないし、土の中の微生物も壊さないし、作物も葉肉が厚くなったり病気に強くなったりして健康になると考えています。

また最近の気候変動で、もともとなかった病気や虫が出るようになってきたなと感じます。今年はちょっと寒いですよね。異常気象が当たり前になってくる中で、前の年を参考にしながら、想定してやっていかなきゃいけないので、日々研究です。

有機肥料で作った野菜は、マルシェのような場所で人気なイメージがありますが

うちで作った野菜は有機野菜の宅配業者さんに卸しています。ちょっとの虫でも嫌だというような声があったり、お客さんの目が厳しくなっているような気がします。逆に虫がついているほうがいいという話もありますが、窒素が余分に野菜の中にあると、その匂いで寄ってくることもあるので、化学肥料でも虫はつきます。

人によって考え方は色々ありますが、有機だから美味しい、栄養価が高いとは限りません。難しいけど、有機でなおかつ美味しく栄養価の高いものを作りたいと考えています。「土にもよくて、野菜もよくて、人も嬉しい」ことを目標に作っていきたいですね。まだまだこれからです。

ボラバイターさんの仕事について教えてください

ボラバイターの皆さんには農作業全般をお願いしていて、みんなで一緒に作業をします。除草剤を使わないので、夏は振り返ったら伸びてる!?くらいにぐんぐん雑草が生えてきます。草刈り機も使いますが、たとえばキャベツとキャベツの間は草刈り機は通せないから手で刈ることになります。これは結構大変で、収穫より時間がかかることもありますね。それでも先を見越して除草をしていかないと大変なことになるので…足腰が鍛えられると思います。

ボラバイターから就農した人も20人くらいいます。おじいちゃんの畑を継ぎたくて、とか、自分で畑を借りてといった感じですね。キャベツ、レタス、ブロッコリー、大根、白菜、とうもろこしなど、いろんな野菜を作っているから勉強にもなると思います。

これからの夢や目標を教えてください

仕事では、お客さんのために、家族のために、安心安全でおいしいものを作り続けたいと思っています。また野菜と同時に人も育てられれば良いなあと思います。仕事以外だと、中学生の野球をやっている息子がどうなるか、楽しみです。

【ボラバイターさんへのメッセージ動画です】

本記事は、3/25、26に東京新宿中央公園にて開催された「TOKYO outside Festival」のボラバイトマルシェ会場にて伺ったお話を元に作成しました。

 

取材日:2017/3/25
記事:AKKY
写真:大越 香絵