農園-ymt【山梨県・笛吹市、桃、野菜】

農園-ymtさんとご自身について教えてください

うちは代々農業をしてきて、現在は桃と茄子を主に、スイートコーンなども生産しています。桃は父の代の昭和40年くらいから作り始めました。桃は露地栽培をしていて、6月中旬から9月中旬まで、茄子は11月に霜が降りるまで収穫します。

自分は20代の頃は運送業で、食品や青果類を山梨から東京、関西に運んだり、東京の工場から新潟や仙台、熊本などあっちこちに運んでいました。運転の仕事は好きなので、苦ではなかったし、努力すればするだけ評価されて自分に返ってきたのでやりがいもありました。
28歳の時に父が他界して、昼は畑で仕事をして、夜は運送業の仕事をしていたので、そのころはいつも睡眠不足だった気がします。

桃を作ろうと本格的に思ったきっかけは、その当時の彼女が桃が大好きだったから。
いつも「おいしい」って言いながら食べてくれて、「この娘にこれからも美味しい桃を食べさせたい!」と決意して頑張ってきました。周りの人が作っていないような美味しい作物を作りたいと思っています。

桃は現在20種類作られてると伺いました

20種類作ることで桃のシーズンの最初から最後まで順番に出荷することができます。
桃の中でも経済性の良い品種、つまり誰にでも作りやすくて味も万人受けするものがあって、JAではそういった決められた品種だけが取引されています。ただ自分のところは、個人で市場に持って行って売るので、周りに左右されず、珍しい品種など自分の作りたい品種を作っています。JAの共同出荷だと、コンテナを持って行って、選果されれば、もうどこの誰の作った桃かは分かりません。ただ市場で売ると、お客様の手元まで、「農園-ymtの桃」として届くので、ちゃんとしたものを作らなきゃという責任感もあります。

(木になっている時は地面に向いている方を上に向けて箱詰め。
赤黒い色が均等に広がっているのがいい桃なんだとか。)

桃作りでなにを一番大事にしていますか

まずは味です。糖度の高さだけを重視しがちですが、ただ甘いだけではなくて、その品種の特徴があって、食べてみて「違うなぁ」って思ってもらえるような桃をつくりたいですね。肥料も工夫してみたり、あとは常に美味しい品種を探し求めています。

あそこの切り株は古い桃の木ですか

以前使っていた人が植えた桃の木です。かなり大きく古いものだったので切りました。桃を植えて、その品種の特性がしっかり出て、大きい桃がとれるようになるのは7年目くらいからです。一番いいものがとれるのは12~3年くらいの木。切りたくないから残してるって人もいるけど、あまり古くなると枝が折れやすくなったり、皮がむけてしまったりして、良い物は作れないので頃合いをみて新しい木を植えて育てていきます。

(一本の桃の木から収穫する桃は600~700個!育つ過程での摘果や、雨風を耐え抜いた、「選ばれし桃」が出荷されます。)

ボラバイターさんの仕事について教えてください

桃の袋がけなどの管理作業や、桃の収穫作業のお手伝い、茄子の収穫・箱詰め・出荷作業などをお願いしています。
桃の収穫の際は、私が収穫したものを車のコンテナまで運んでもらうお手伝いをお願いしています。木になっている中からいいものを選び、また皮を傷つけずに収穫するのは経験と技術が必要です。熟した桃になると本当に簡単に指の跡がついてしまって、味が変わる訳ではないけれど、商品価値はなくなってしまいます。
一年に一回しか収穫できず、また木からとったものを元通りにくっつけることもできないので、売る桃に関しては、ボラバイターさんに収穫をしてもらうことはありません。ただ、収穫せずに残しておいた桃などで収穫を体験してもらうことはありますし、枝の傷がついてしまったものは、部屋に持って帰って食べてもらっています。
茄子は集中してしっかり作業しないと次の日の作業が大変になってしまったり、箱詰めはコツがいるので少し難しいかもしれません。

ボラバイターさんたちは、空き時間や休日はどう過ごしていますか

家の離れをボラバイター専用で使ってもらっているので、お昼の休憩時間にはそこでご飯を作って食べています。いつもわいわい賑やかに楽しんでいるようなので、共同生活を楽しめる人だといいと思います。
休日は山梨のお土産の定番「信玄餅」を作っている桔梗屋(ききょうや)の工場見学や近くの温泉などに行って楽しんでいます。

(桃の袋がけの作業。一つ一つ丁寧にかけていきます。
出荷間際になると下の茶色い部分をはずします。)

2013年から60人ほどボラバイターさんを受け入れての思い出はありますか

だんだん栽培面積を増やしていく中で人手不足に困っていたときに、「住み込み、農家のバイト」と調べて、おっかなびっくり始めました(笑)今は本当に助かっているのでありがたいです。
一番印象に残っているのは、募集し始めてから2人目くらいに、短大卒業してからずっと家にいて、バイトもしたことがない、働いたこともない子が来てくれました。なんだかよくぼーっとしていて、畑で立ったまま寝てしまうような子だったけど、とにかく桃が好きだったんですよね。働くうちに働く喜びを覚えたというか、人に必要とされることが嬉しいというか、なにかに気づいたらしく、帰ってから電話したら「今、茨城の農家でじゃがいも掘ってます」って(笑)働いたのは1週間だけでしたがよく覚えています。

ボラバイターさんには都会の感覚を聞くのをいつも楽しみにしています。実際スーパーでいくらで売られているの?とか、その桃は手で皮がむけるの?それともかたいの?とか。山梨にいるだけでは分からないことを色々聞いてお客様の気持ちを知ることも大事なので、じゃあこうやって市場に出したらいいかなとか、どういう味が好まれるのかなといったことを考えています。桃は値段が高いので、一年に一回しか買って食べないとか、「桃なんてスーパーで売っているの見たことない」って言われたこともありましたね。

(甲府盆地が見下ろせる桃畑。夜景がキレイで、
花火大会の花火もここからばっちり見えるそう。)

お仕事をするうえで大事にしていることはありますか

桃や茄子の作り方は、本には書いていないことがいっぱいあります。なので常に勉強するようにしていますし、「誰々の家があれをやったから、うちもやらなきゃ」というのではなくて、日々研究して考えながら作っています。
農業は正解というか、明確な答えを出せないことが多いです。「なにを信じるか」が人それぞれだから、宗教みたいだなぁと思います。「この時期にこの肥料をやればいいよ」っていう人もいれば、「いやこっちだよ」っていう人もいて。難しいですが、やっぱり基本的なことをしっかり勉強して、毎年同じ条件で作れるわけじゃないので、何年か前にこんなことあったな、といったことや、日々の積み重ねを大事にしています。

ボラバイターさんから質問があれば、話すのは嫌いじゃないので、教えられることは全部話すようにしています。新規就農したいという子も、うちに来て気軽に色々聞いてもらえれば嬉しいです。

ボラバイターさんにメッセージをお願いします

手先が器用で、共同生活が楽しめる人だといいなと思っています。そしてなにより!規格外の桃は食べ放題ですし、茄子も柔らかくて絶品です!

(お母さんと一枚)

     

【ボラバイターさんへのメッセージ動画です】

【編集後記】

20種類の桃を栽培されているということで、インタビューのお話を伺った畑は収穫後と収穫間近の桃、ボラバイターさんが作業していたのはまだ実の青い桃、山の中腹の畑には袋がけ後の桃があり、そこからリニア中央新幹線の実験線を見ることができました。9月中旬までは、規格外の桃は食べ放題とのことだったので、桃好きの方はぜひ!

取材日:2017/7/4
記事:AKKY
写真:大越 香絵