ご自身と農家-osiさんについて教えてください
今でいう定時制のような大学に通っていました。課外活動では、演劇、柔道、ダンス、バレー、などなんでもやりました。卒業する頃は、高度成長期の走りで、優秀な奴は農業をするなというような風潮でした。公務員試験に受かっていましたが、定年退職するころに、公務員以上の生活ができればいいなと思って、それをけって就農しました。
私の家は、明治時代に淡路島から北海道に入植して、私で7代目。今の場所に移ってから3代目になります。昔は小麦や青エンドウなどを手作業や馬耕などで栽培していましたが、現在は機械化された部分も多いですね。
海外の農業も勉強したくて、40日間くらいアメリカを大陸横断しながら農業を見学したこともありました。100%真似することはできませんが、機械化など、いいところだけを取り入れるようにしています。2008年には、フランスで見たGPSを使った農業を始めました。
お仕事をする上で大事にしていることを教えてください
一つは「自然の中で完結させる」ということです。植物も動物も全部自然の中で生きていますよね。植物は、芽が出たときは非常に弱々しくて大切に育てないといけません。そして気温が上がると成熟して老いていき、温度と環境が揃うと花が咲いて実をつけます。
人間も、食べ物をちゃんと食べて適度に体を動かすということが大事だと思います。父母は91歳と89歳ですが、まだ健在で、ビニールハウスで野菜やメロンを作っています。
自然の中はストレスがたまらないと思うので、都会でストレスを感じている人には農業はおすすめです。北海道の農業は、雪で作業ができなくなる冬の3ヶ月間が長期のお休みになります。次の年の作業の計画を立てたり、旅行に行ったり、好きなように使えて、メリハリがあるのが良いところだと思っています。計画などを自分で決める大変さもありますが、そのあたりは愛妻に支えられています。
もう一つは「食育の大切さを知ってもらう」ということです。近くで独身の男性がコンビニのお弁当や外食だけで体を壊したとか、子供たちが魚は切り身で泳いでると思っているといった話を聞くと、昔だったら農家のおじいさんおばあさんから自然と教わっていたようなことを知る機会がなくなったと感じます。また日本の農産物の価格が高くなってしまう仕組みや、採れたての野菜の美味しさも食べて知ってもらいたいです。
ボラバイターの仕事について教えてください
ボラバイターにお願いしている作業は、馬鈴薯(じゃがいも)の収穫・選別、キャベツの収穫作業などです。その人の性格や体力に合わせた仕事をお願いするようにしています。
最近は転職する間の期間に来てくれる人も増えてきましたが、人生経験が豊富だからコミュニケーションがうまく取れる人が多いし、よく気が付いてくれるし、自分より後に来たボラバイターに教えてくれたりするのがいいなと思っています。
最近の若い人はすぐ覚えてくれるから、近所の80歳のパートさんに教えるよりは楽ですね。(笑
10年ほどボラバイターを受け入れての思い出はなにかありますか
家の近くに温泉がいくつかあるので、仕事終わりには皆で行くこともあります。
美幌は北海道の道東の拠点になる場所なので、観光地に色々遊びに行ったりもしました。
自転車を貸し出していますが、方向音痴の人が隣町まで行って迷子になって町の人に送ってきてもらったこともありました。車に慣れている人には車を貸して、ボラバイトの期間が終わった後に一週間ぐらいかけて北海道観光をして帰った人もいます。
台湾から来たボラバイターを訪ねて、2度ほど台湾に遊びに行ったり、沖縄から来たボラバイターにも沖縄旅行の時に会ったりと、ボラバイト終了後も交流があります。
ボラバイター以外にも、高知県の高校生のインターンシップや、酪農大学の生徒なども受け入れていて、みなさんに、太陽とともに生活をする体験をしてほしいと思っています。色んな人を受け入れ、一緒に生活することで、ご飯もより美味しくなるし、家もきれいになるし、他人の目もあるので夫婦生活も良好になります。
本記事は、3/25、26に東京新宿中央公園にて開催された「TOKYO outside Festival」のボラバイトマルシェ会場にて伺ったお話を元に作成しました。 |
取材日:2017/3/25
記事:AKKY
写真:大越 香絵