ご自身について教えてください
学生の時は、農学部で農業環境工学といって、農業土木、測量や設計などの勉強をしていました。いずれ実家で就農するときに、活かせる仕事をしたいと思って、農業関係の土地改良事業(農道・水路の設計、計画など)の仕事を6年やりました。その後、30歳手前で就農しました。
就農してから3年目か4年目に、作りすぎて余ってしまったんですね。その次は人手が足りなくて回らなくなって、出荷できなくなって。計画の段階でも育てる段階でも失敗してしまったんです。この時期はこれくらい作る、とあらかじめ計画するんですが、それを無視して作ってしまうと、大変な事になります。余ったり足りなかったり、試行錯誤しながら毎年繰り返していく中でだんだんと分かってきた部分もあります。
始めた頃と今の違いはなにかありますか
始めた頃は、親のやっていることを見て、指示をもらって作業をしていましたが、自分が経営するようになって責任感が増えました。仕事の段取りや環境など改善してきた点もありますが、やはりまだお客さんとの距離感があるように思います。自分が作ったものが、どこへいって、誰が食べているか分からない、反応が返って来づらいということを感じるので、その距離を近づけていきたいと思います。
お仕事の中でどんな時にやりがいを感じますか
ゴマ粒くらいの種が、キャベツやレタスになるわけですが、病気や虫にやられることもあって、すべて順調に育つわけではありません。そんな中で育った野菜を食べたお客さんから美味しいという声があると嬉しいですし、逆においしくないという声でも、どう改良していこうかと考えることが楽しく、やりがいにつながります。
高原野菜なのでメインは8月-9月ですが、他の産地とはピーク時期をずらして、6月から出荷できるようするなど工夫しています。作っている野菜の中では、採れたてのレタスが自慢です。貯蔵することで美味しくなる野菜もありますが、レタスは朝一の採れたてが一番美味しいです。
ボラバイターとはどのように接していますか
とにかく分からないことは、分からないままにしないで聞いてね、と伝えています。また作業の中には種まきから収穫、片付けまで色々ありますが、一つの仕事を最後までこつこつ出来る人は農業に向いているのかなと思います。将来的に就農したいという気持ちはなくても、うちにくる目的とか目標を持っていてくれると、教えがいがあるし、一緒に自分も成長できます。
生きていく中で「食べる」ということは基本だと思います。野菜が育って、収穫して食べる、その一連の流れに興味を持ってほしいです。3年前に来てくれたボラバイターさんが岩手で就農すると聞き、嬉しく思っています。
本記事は、3/25、26に東京新宿中央公園にて開催された「TOKYO outside Festival」のボラバイトマルシェ会場にて伺ったお話を元に作成しました。 |
取材日:2017/3/25
記事:AKKY
写真:大越 香絵