ゲストハウス-saie【沖縄県・本部町、製塩、ゲストハウス】

現在のお仕事を始められたきっかけを教えてください

この仕事をする前は、電力関係のサラリーマンをしていました。全国を転勤しながら働いていたので、いつかふるさとの沖縄に定住したいと思って、45歳の時に退職し沖縄に戻ってきました。

沖縄には素晴らしい海があり、海の資源を活かした仕事をしたいなと考えていました。海に関わる仕事だと漁師なんかもありますが、透明度の高いきれいな海水を使って塩を作りたいと思い、塩づくりを始めました。

サラリーマンを辞めて塩づくりを始めた時に、師匠のような人はいたんでしょうか

周りに塩づくりをしている人は何人かいましたが、規制緩和されて間もないころで、見学させてくれる所はほとんどありませんでした。唯一、国頭村で塩釜を見学させてもらったくらいで、あとはほとんど独学で、自分で窯を作って、製造方法を編み出しましたね。

簡単には諦めないという覚悟を持って始めましたが、最初の3カ月、商品にならないような塩しか出来なかったのは予想外でした。そんな苦労があったので、今でも塩が出来上がる感動はひとしおですね。洒落じゃないですよ(笑)

塩づくりについて教えてください

4日間で1トンの海水から、約25kgの塩が出来ます。1週間で50-60kgですね。朝から夜まで、ガスではなくて、地域の間伐材を使って窯に火を焚きます。

気候や季節によって塩の結晶も少し変わってきて、毎回まったく同じものにはなりません。夏場は海水を汲み上げて窯まで運ぶ作業や、窯で火を焚く作業の時は暑くて大変ですが、塩が結晶化していく段階で「塩の花火」がぽかんぽかんと出てくるときには本当に感動します。

お塩のこだわり、他と違うところはなにかありますか?

海水をとる段階からこだわって、必ず満潮時の海水を使って塩を作っています。確率の話ですが、生命が誕生するのは満潮の時が多いですし、沖縄には「ニライカナイ」という水平線の向こうから福を運んでくるという言い伝えがあります。塩というと普通はお清めなどで使い方が限られますが、満潮時の海水で作った塩を盛り塩することで、幸運を呼び寄せるといった意味で使ってほしいなという思いもあります。

塩作りと並行して、ゲストハウスもあるんですよね

初めは、塩づくりの見学に来られる方々の泊まる場所でした。美ら海水族館も近いし、世界遺産の今帰仁城跡もあって、見どころはたくさんあるのに周りはリゾートホテルばかりで、ゲストハウスみたいな気軽に泊まれる場所がないのかなという声を多く聞いていたので、希望に応えたいなと思って2015年の7月に始めました。海外からのお客様も多くて、夜は一緒にご飯を食べたりします。始めたばかりですが、すでにリピーターのお客様も出始めて、びっくりしています。

昨年よりボラバイターを受け入れていただいていますが、どうでしょうか

ボラバイターさんには、塩づくり用の窯の洗浄、塩のパッケージ詰め、ゲストハウスの部屋の清掃やチェックイン対応などをお願いしています。

沖縄に関心があったり、人が好きだと楽しめるんじゃないかなと思います。週2日お休みをとってもらって、遠いところには連れて行ったりしています。今のところ、やる気満々な人が多いので、あまり心配なことはないですね。

地域の人とは、模合(もあい:グループで集まった時に一定額を集めて順番に給付していく、あるいは積み立てて旅行に行ったりする仕組み、本州だと無尽)なんかで「ゆいまーる」(助け合い)の風土があるので、ゲストとして参加してもらったりして交流できると思います。

今後の目標・夢を教えてください

ゲストハウスは、設備を整えたりして充実させていきたいと考えています。塩づくりの方は、拡大していくつもりはありませんが、自分の体力と相談しながら続けていきたいです。もしかしたら、ボラバイターから後継者が生まれるかも、と少し期待しています。

仕事以外では、時間的に余裕が出来たら、釣りに出るような時間が取れたらいいなと思っています。釣った魚をゲストハウスで出したりして皆で食べたいですね。

【ボラバイターさんへのメッセージ動画です】

本記事は、3/25、26に東京新宿中央公園にて開催された「TOKYO outside Festival」のボラバイトマルシェ会場にて伺ったお話を元に作成しました。

取材日:2017/3/26
記事:AKKY
写真:大越 香絵